入江敦彦の1000

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Okini040rainbow_flag_koto_design レインボー・フラッグ 行為, デザイン,

またの名を「Pride Flag」。「Freedom Flag」と呼ばれることもある。1978年にサン・フランシスコ在住のアーティスト、ギルバート・バーカーが考案したLGBTを象徴する虹の旗である。赤は人生を、オレンジは癒しを、黄色は太陽を、緑は自然を、青は調和を、紫は精神を表している。オリジナルはアートのターコイズとセクシャリティのピンクが加わった8色だった。が、経済的かつプラクティカルな理由から現在の形に収まった。これらのキーワードはゲイの嗜好(志向)を表現しているわけだけれど、今日ではそれ以上に本来の意味を超えて「ハーモニアスな共存」を意味している。オリンピックの旗と同じ理念なんだよね。

儂自身は、これを自宅の窓からぶら下げる気はない。けれど、八百屋だの眼鏡屋だのといった普通のお店がこのステッカーをドアに貼っていたりすると、やっぱりそれだけで安心感と連帯感を感じる。「買おう」って気になる。そういう意味では経済的な行為。日本ももっと取り入れるべきではなかろうか。とくに外国人客が多い店は効果があるはず。

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Okini039bubu_arare_narumiya_kyo_foo 鳴海屋の「ぶぶあられ」 京都, 食,調味料, ごはん,

京都人はお茶づけが大好き。チンチロリンと茶碗を鳴らして朝な夕なにかっこんでいます。てなことをいうと「ああ、京つけものは美味しいものねえ」とか思われる方が多いかもしれません。が、そんな高級品をケチンボウな彼らが日常的に食べるわきゃない。基本は黄色いおこうこ。夏は胡瓜の,冬場は白菜のどぼ漬け。それから、せいぜい塩昆布といったところで充分に満足しています。あとは奈良漬けがあればサイコー。なんですが、個人的には『鳴海屋』の「ぶぶあられ」をラインナップに加えたい。この歯応えがプラスされるだけで、すんごいご馳走感があがる。

お茶漬け以外にも、クルトン感覚でサラダに散らしたり、衣にして揚げ物に使ったり、おつゆの浮き実にしたり、ほんとうになんにでも応用できます。和えもの、酢のもの、お造り、炒めもの、なんにでも振り掛けちゃう。おむすびにまぶすのも好き。保存瓶に入れて台所に常備してます。香ばしさを足すための調味料と考えることもできるんじゃないかしらん。『鳴海屋』さんのおかげで京都では比較的どこででも手に入るけれど、いざとなったら道明寺粉を空炒りして自家製することも可能。

『鳴海屋』 http://www.narumiya.co.jp/index.htm

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Okini038kagoshin_kakehana_mono_kyo_ 籠新の掛け花 京都, 店, インテリア, 植物, 装飾,

指が緑でない人間なのだが、それでも庭があればなあと思うときがある。ひとつは犬を飼いたいなあと夢想するとき。そして、もうひとつは掛け花にちょんちょんと茶花、もとい山野草、もとい雑草を活けたいなあと考えるときだ。とにかく掛け花に投げ入れると、たいていの植物はかっちょよく見える。そして、掛け花が飾られていると、ずいぶんと部屋の見映えがよくなる。いまはもっぱら人様の前庭からはみだしたり、公園の片隅に繁っている雑草をいただいてきているのだが、自分ちの庭なら遠慮なく切ってこられる。欲しいなー。庭。

そんなわけで、けっこうこのアイテムは数を持っている。とりわけ『籠新』さんの曲げ竹掛け花はお気に入り。シンプルだが個性があり、それでいてヴァースタイル。どんな草花とでも相性がいい。五代目主人、森田さんはなににもまして京が誇るべき職人技の使い手のひとり。まるでマジシャンのように竹細工を紡ぎだす。あらかじめプランを立てたりせず、素材の意を汲んで指の赴くままに作ってゆくのだと彼はいう。その過程で、なにか魔法めいた成分が含まれるのかもしれない。

『籠新』 〒605-0011東山区三条大橋東4丁目北側

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Okini037suguki_kyo_food_trad_veg_piすぐき 京都, 食, 野菜, 伝統, つけもの

京都を代表する味覚のひとつに「すぐき」があります。たぶん、よそさんが想像している以上にこのおつけものは彼らにとって重要な意味を持っています。いろんな店がありますが、あまりブランドには拘りません。冬場に上賀茂の辺りを散歩すると、農家の軒先で売られていたりしますが、そういうのを買うのが儂も好きです。写真は『谷寛』さんの前庭風景。〝押し〟の真っ最中です。酸っぱい匂いがプンと漂い、それだけでなんとも嬉しい気分になります。

四百年くらいの歴史があるようですが、かつては『上賀茂神社』社家が独占していたそうな。あとは宮廷への献上品のみ。一般に広まったのは明治以降。この一帯に火災があり、その復興を目的に市中で売り出されたのがそもそもだとか。それを機にモノポリーが解かれ、種子も頒布されるようになったらしい。当時被害に遭われた方々には申し訳ないが、ありがたーいことです。

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Okini036retired_grayhound_dog_uk 引退したレースドッグ 動物, 犬, 英国,

将来、犬を飼うとしたらドッグレースを引退したグレイハウンドと決めている。理由は見た目ではない。ぬめっとした触感は好きなんだけど、本来はもっとがっしりした犬種のほうがタイプだ。けれど、彼らは英国でいちばんかわいそうな犬。毎年、大量のレースドッグが引退し。その多くは引き取り手がないと山奥に捨てられたり、即薬殺なんてケースもある。バタシー始めアニマルシェルターに収容されている数も一桁違う。オマケに図体がでかいから引き取り手も少ない。だから一匹でも救ってやりたいんだよね。

性格が、またいいんだわ。『恋愛よりお金より犬が大事なイギリス人』(洋泉社)という本を書いたとき、さまざまな犬と出会ったけれどグレイハウンドほど可愛いヤツラはいなかった。とにかく人好き。人懐こい。おとなしくって頭がよくって、ちょっと淋しがり屋。なにしろ走るために生まれてきた犬だから普段は体力温存型で、あまり大量の運動も必要としなかったりする。毎日の散歩以外に、思い切り駆け回るのは週一で充分らしい。そして、その走る姿が、また、かっこいいんだわ。

写真はビンフィールド村『ライハースト・ケンネル』所属だったアリくん。きっと、この子ももう引退しているだろうなあ。あのね、儂が写真を撮ろうとしたら、オーナーが「ちょい待ち」って耳に息をふっと吹きかけてやったの。そうすっと耳がピンって立った。「こうしないと拒食症のオットセイみたいだからな」だって。確かに(笑)。

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Okini035maldon_food_trad_uk_taste Maldonフレークソルト 食, 調味料, 英国,

『草喰なかひがし』さんで最後の羽釜ごはんのときに、オコゲと一緒に供されるお塩。別名「入江さんのお塩」(笑)。イギリスから日本に帰るとき、スーツケースの半分はこの塩で占められております。そうです。儂は運び屋です。ご飯にはもちろん、お野菜、とくに生やシンプルーに調理したものには抜群の相性。素材の奥の甘味を、ぐっと引き出すような性質があります。個人的にはゲランドの塩よりもウマイと思う。そうそう。噛み当ったときにパリッと崩れる食感も気持ちいいんだよね。

ロンドンにも接したエセックス地方はローマ時代から製塩の伝統があります。英国で水がきれいといえば大西洋側の印象なんだけど、エスチュアリと呼ばれる河と海の接する辺りに広がる浅瀬が、きっと塩田に適しているんでしょうね。テムズの河口もエスチュアリなんだけど、マルドンのお塩が作られているのはブラックウォーター河口。ヴィクトリア時代初期にエスタブリッシュされた、英国が誇れる数少ない〝食のブランド〟でございます。

Maldon社 http://www.maldonsalt.co.uk/

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Okini034bibendum_shop_fra_uk_archi BIBENDUMビル ショップ, 英国, フランス, ファッション, 建築, ステーショナリー,

いまでこそ可愛い店やお洒落なショップが増えたけれど、九〇年代頭までここは本当に在英雑貨好きにとって聖域のような場所だった。South Kensingtonの地下鉄駅に降り立つと、それだけでウキウキしたものだ。〝雑貨欲〟を満足させてくれる場所といえば蚤の市しかなかったからね。いまとなってはカムデンやポートベローの混沌のほうが希少であり、また懐かしくもあるけれど、とにかく当時はここに満ちているような「洗練」というものに飢えていた。いまだって、セレクトショップとしては決して悪くない。

あと、ここの魅力はなんといっても建築! アールデコのアーキテクトというのは、それでなくとも恰好のいいものだが頭抜けて魅力的。ロンドンではSt. James's Park の駅ビル、Ealingのフーバービルと並んで御三家だと儂は思っている。おまけに壁面にはミシュランマンことビバンダムがいっぱいいーっぱい。アニキ、たまんないッス。ハァハァ。

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Okini033sherry_el_candado_ximenez_2 Pedro Ximenez El Candada

酒, 食, 飲料, 調味料, スイーツ, スペイン,

酒をそのまま飲むことは少ないんだけど、まして甘口の酒はあまり好きではないのだけれど、それでもうちにコレだけは常備されている。というのも「トライフル」を拵えるときの必需品だから。底に敷いたスポンジにこいつをたっぷり染みこませてベースとしないことにこのお菓子作りは始まらない。基本的にペドロ・ヒメネス種のシェリーが合うのだが、Alexander Gordonなど錚々たる銘酒と比しても、こいつ以上のトライフルズ・ベターハーフにはまだ出合っていない。

製造元のValdespino社は創業1340年というシェリーの名門。けれど生産量はさして多くなく、シェリー好きの多い英国ですらあまり見かけない。儂はロンドンの『Lea & Sandeman』170 fulham rd で購入している。ちなみに、そのまま飲むなら同じバルデスピノ社のイノセンテのほうが美味しいと思う。けど、アレだな。なんだかんだいって儂がこのシェリーに惹かれるいちばんの原因は、口のところの小さな金色の錠前のせいだろうな(笑)。

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Okini032whos_who_gay_and_lesbian_hi Who's Who  本,

日本語だと「人名録」「紳士録」とかになるんだろうか。「Who's Who」という形式の本が儂は大好き。テーマに添って、あるカテゴリーに属する人たちのプロフィールや略歴を集めた、いわば〝ニンゲン〟の辞書。写真は古今東西の有名著名同性愛者を紹介した『IN Gay & Lesbian History』と、その近代以降版。非常に面白くて、ながらくトイレ本の定番になっておりました。

もちろん毎年発行される電話帳のごとき本家『Who's Who』も5年に一度くらい(だって高いんだもん。それに毎年だと嵩張るから)は買うし、わんさと出ているTVや映画、舞台関係も一通り購入済み。そのほか英国王室メンバー一覧だの、シェイクスピアの登場人物だの「Who's Who」とあれば、とりあえず持ってレジに向かってしまう。もちろん『宝塚おとめ』も欠かせません。

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Okini031whitstablenativeoyster_mono Native Oyster  食,海,英国,レストラン,季節,魚介,伝統,

英国南東部ケント県のあるテムズ河口の街Whitstable。ここには、この海辺でしか採れぬ牡蠣がいる。通称「ネイティヴ」。海を隔てた対岸、ブルターニュ名産のBelon同様、胎生の丸い牡蠣(ヨーロッパヒラガキ Ostrea edulis )。ローマ時代から知られた美味である。もー儂はこれが好きさ、好きさ、好きさ、いえっさいどぅ~。毎年必ず食べに行くけれど、口に入れるたびに「この世にこんな旨いものがあっていいのだろうか?」と思う。まあ、儂はしょっちゅうそんなことを思っているんですが。

この小さな漁村には十軒近くのオイスターバーがあるけれど、儂が食べる店は決まって『The Royal Native Oyster Stores』。ここは英国最高のレストランの一つだろう。水揚げしてきた牡蠣の下処理作業場を改装した店は明るく清潔でほんとうにリラックスできる。他のメニューもデザートまで含めハズレなし。ミネラルウォーターにエミーリア・ロマーニャの銘水Pannaを選ぶセンスには感動した。そう。水は大切。牡蠣にいちばんよく合う飲み物なのだから。 まして凝縮したような濃厚な旨みを漲らせる、このネイティヴには。

『The Royal Native Oyster Stores』 Horsebridge, Whitstable, Kent Tel: 01227 276856

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