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Blood and Pink Lace

短編映画コレクション。タイトルからもそこはかとなく香っているが、ゲイをテーマにしたダークな小作品を集めたもの。短編って好きなので、毎回いくつかのコレクションを観るようにはしてるんだけど、やっぱ、いまいち食い足りないんだよね。そして、その食い足りなさ感は毎年強くなっている。おそらくは作っている人間に、みんな「いつかは大作を撮ってやろう」という意識があって、それゆえに冒険できなくなっているせいではないかと……。もっと自己満足でもいいからリスキーな短編をキボンヌ。

『Vermin』 大量の野良猫が発生している架空の街。鬱々とした日々を送る駆除係の主人公は、あるとき、仕事の同僚にリンチされていた少年を救う。しかし、彼は言葉も持たず、行動も猫そっくりの奇妙な少年だった。やがて主人公の心を読んだかのように憂鬱の原因を襲いだすようになった少年。主人公は彼を畏れつつも恋に似た感情を押さえられなくなってゆく。そして少年が同僚を殺そうとしたとき、主人公は決断を強いられる――。ちょっと一昔前感というか、ありきたり感がある。よくできたヤオイ少女漫画みたい。白黒の幻想的な画面は美しい。

『Love Bite』けだるい夏の午後。二人の少年が部屋の中で退屈を持て余していた。無防備にシャツを脱ぐ一人の少年を、もう一人が見つめる。そして、やがて耐え切れなくなったように呟く「僕には秘密があるんだ……」。挑発するように裸の少年が返す。「なんだよ。お前ゲイなんだろ? 俺が欲しいんだろ?」。少年が覆い被さる。そして喉元に噛み付く。血塗れの口元を歪めて少年がいう。「それだけじゃ、ないんだよね」――。まあ、3分ならば、こんなもんでしょ。もう一捻り欲しい。

『Gay Zombie』ゾンビになってしまった青年が、精神科医のアドバイスに従い自分を肯定的に見つめなおすためゲイバーに出かける話。そこでナンパをなんとなく成功させ(!)男の家に行くことになる。彼の同居人たちは最初驚いたものの、やがてゾンビを憐れに思い(なおかつゾンビは巨根でもあったので)「じゃあ、お友達になりましょう」ということで、とりあえずは少しでも人間に見えるようにメイクオーバー大会を開く。気のせいかカッコよくなってしまうゾンビ。けれども、やはりゾンビはゾンビ。人間の生肉を食べたくなってくる――。お気楽なコメディ仕立て。メタファーは潜んでいるようなないような(笑)。精神科医も実はゾンビだったというオチは不要。

『Illuminate』人形アニメ。というか、安もののリカちゃん人形みたいなのを使ってコマ送りで撮られた白黒サイレンスフィルム。お話はあってないような幻想譚。フリークショウに紛れ込んだ少女が、やがて自分もフリークになってゆくという筋立て。その中に性の目覚めや、ホモエロティックな経験が織り込まれてゆく。ちょっとダーガーの作品を映画化したような雰囲気がある。悪くない。なにがなんだかよくわかんないけど「ひょっとしたらエエもんを観たのかもしんない」という気にさせてくれる。

『Mommy's House』二人組のゲイの悪党が、強盗をして逃走するうちに山のなかで事故を起こし、奇妙な屋敷に辿り着く。マミーと名乗る女主人が、まるで彼らを待っていたかのように歓待の宴を開き、彼らは状況をいぶかしみながらも囚われてしまったかのように抜け出せなくなる――。と、まんま山岸凉子の『キルケー』。いつ、この女主人が「おまい、ココアを飲まなかったね! 」と言いだすか楽しみにしてたんだけど、そういう台詞はありませんでした。この作品で、いちばんよかったのは二人組がだったこと。とくにハゲのカール役、ジェロッド・リトルジョン。かわいいん。シャワーシーンなんかもあって楽しませていただきました。

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